写真雑記

文学碑を撮影する(一見地味だけど)

皆さんは「文学碑」ってご存知でしょうか。文学作品に関する語や文章を刻んだ碑のことです。大阪市は大阪にゆかりのある文学者や文学作品が刻まれた文学碑が15基もあるそうです。そして大阪市はこの文学碑をめぐって、碑文を読み、周囲の風景を楽しんでほしいとのことです。

なぜ、私が文学碑のことを知ったかと言いますと、自宅の最寄り駅、近鉄南大阪線の北田辺駅前に、文学碑があったからです。

開高 健 文学碑

そうなんです。開高健(かいこうたかし)さんの文学碑です。この文学碑は大阪市が建てたものではないようですが。

開高さんといえば、トリスウイスキーのキャッチコピー(人間らしくやりたいナ)で有名だが、この頃に『裸の王様』で芥川賞を受賞している方なのです。朝日新聞社の臨時特派員としてベトナムに従軍した際、反政府ゲリラの機銃掃射に遭い、200名のうち17名しか生き残れなかったのだが、開高さんはそのうちの生き残った一人であったそうです。そのほか様々なエピソードのある方なのです。その開高さんが多感な少年、青年期を過ごしたのが東住吉区の北田辺であるそうで、文学碑には当時の北田辺のことにも触れている、自伝的な小説『破れた繭』の一節が刻まれています。

近鉄南大阪線北田辺駅を降りてすぐのところにある、すっかりさびれてしまった商店街。しかし写真教室用の花はこの商店街のお花屋さんで買っているのです。

林芙美子 文学碑

林芙美子さんといえば『放浪記』。龍谷大学の受験で文学史の科目があったため、作者と作品を覚えたものです。林さんは山口県で生まれ、尾道市立高等女子校卒で、その後は、東京に上京と大阪とは関わりのない方なのかと思っていたのですが、小説の中で一時大阪で暮らしていた様子が書かれており、また朝日新聞に連載された『めし』の取材のために度々大阪を訪れ、一人で大阪の街をぶらぶら歩いたことや、「法善寺横丁の三流旅館」の泊まって郊外の市場にまで足を運び、谷町筋の洋服商店街や松屋町筋の玩具店やミナミの雑踏もキタのビル街も歩いているようです。

そしてこの文学碑には通天閣の周辺のことを記した『めし』の一節が刻まれています。

 

 

 

 

 

今回調べて行くと、戦前、戦後と生き抜き、多くの恋と多くの苦労のすえ、流行作家とまで言われるようになった、林芙美子さん。その優れた才能と描写力は多くの人を虜にし、作品の多くが映画化されています。

文学碑の横には、「旧黒田藩蔵屋敷長屋門」がある。天王寺公園のエントランスエリアは「てんしば」と言われるようになり、多くの人々が集まるスポットとなり、誰も目に止めなくなってしまっている文学碑。しかしその背景を調べてみて思わされたのは、その人の生き様です。

文学碑巡り、一見地味ですが、その周りの風景を撮り、帰って調べてみるというのも面白いかもです。

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