3月に入り、梅の花も遅咲きの花が咲き始めて、そろそろ桜の花の開花に心が向かってしまいがちな季節に入りました。日本人にとってやはり梅の花よりも桜の花に心が躍るようです。
万葉集に詠まれた梅
しかし昔、梅の花の方が人気があった時代があったそうです。実は奈良時代の花の鑑賞といえば、梅であり、貴族の間では庭には梅を入れることが多かったようです。当時、遣唐使を遣わし、中国との交易が盛んになり、その中の一つに梅があったことからだそうです。
その人気が証明されるものとして『万葉集』に詠まれた梅の数で、梅を詠んだ歌は110首で、桜を詠んだ歌は43首で、実に梅の方が倍以上詠まれています。そして大坂城公園梅林には梅の万葉集の歌の札が散りばめられています。
君とこそ 春来ることも待たれしか
梅も桜もたれとは見む ー赤染衛門ー
赤染衛門さんは、女性であるらしく、この歌は旦那さんが亡くなった次の年の春に、旦那さんを想って詠んだ歌であるそうだ。
うちなびく 春の柳と 我がやどの
梅の花とを いかに分かむ ー大典史氏大原ー
当時、太宰府の長官であった大伴旅人主催の梅花の宴で詠まれた32首のひとつで、なびいている春の柳と私の庭の梅の花が、どちらが綺麗かは判断できないという歌であるそうです。
桜の花に人気が集まる平安時代
ところで梅の花に変わって桜に人気が出たのは、平安時代だと言われています。あの菅原道真が遣唐使を廃止し、日本独自の文化が発展していくにつれ日本古来の桜の花が注目されるようになり、『古今和歌集』には、桜を詠んだ歌は70首で、梅の花を読んだ句は18首と桜が梅を逆転するようになったそうです。
メモ
EOS 6DmarkⅡ (1、3枚目)、 EOS 6M (2枚目)絞り優先オート開放値にて撮影。ISO感度オート