最初にカメラを買うとき、ほとんどの方は、セットで買ってしまう標準ズーム。広角側から中望遠までカバーしていてとても便利なのですが、写真を撮っているうちに、あることに気がつく方も多いのではないでしょうか?ボケを期待していたのに、あまりボケない?
そうなんです。みなさんがイメージしていたようには、撮れません(撮り方によってはボケますが)。
レンズの明るさの違いー絞りの開放値の違い
その理由は、標準ズームは価格を抑え、小さく、軽くするために、どうしても、暗い(絞りの開放値が暗い)レンズ、つまりボケにくいレンズになってしまうのです。また単焦点レンズに比べて複雑な構造になるためでもあるのです。
上の左の写真は、APS-Cサイズのカメラで標準ズームの望遠側の55mm(88mm)で撮影したもの。
右の写真は単レンズ50mm(80mm)で撮影したものです。
分りますように、左の標準ズームは背景が、ごちゃごちゃしてボケが小さい感じですが、右の単レンズはボケが大きくやわらかな感じになっています。
これはレンズの開放絞り値の違いによるのです。標準ズームの望遠側の開放値はF5.6 で単レンズ50mmの開放値はF1.8 で、絞りにすると約3絞り半の違いがあるのです。
上の写真でも先ほどと同じようなボケ方になっています。
つまり冒頭でも言いましたように、カメラとセットの標準ズームでは、みなさんが思っているようなボケた感じの写真は撮れないということなのです。
しかし、標準ズームは全くダメかと言いますと、そうとはいえません。ボケはあまりボケませんが、軽くて、普段にでも持ち歩けますし、撮りたいという時に広角から中望遠まで選べます。これを高価な重いズームレンズや単レンズを何本も持ち歩くとなると、疲れてしまいます。
そして撮り方によっては、標準ズームで撮ったのかと思うほど、いい感じのボケが出ることがあります。
上の写真はAPS-Cサイズのカメラに18-55mmの標準ズームで撮ったものですが、同じレンズを持っていた知り合いの人に‘’ほんとにあの18-55mmレンズで撮ったの?‘’と聞かれたほどです。
確かにボケは小さいかもしれませんが、逆光で露出をオーバー気味で撮ったり、水面が輝いているところを背景にしたり、背景との距離が遠い時に、ボケがいい感じになってくるのです。
あくまでボケというのは、被写体を引き立たせる効果のようなものです。背景を工夫することで、小さなボケであってもうるさくない綺麗なボケにできるのです。
私の結論としては、最初にカメラとセットで買うと、格安で購入できるので、セットで購入すべきだと思います。そしてカメラに使い慣れてきたなら、次に比較的安価な単レンズを購入していけばいいのではないかと思います。今回撮影で使用したキヤノンのEF50mmF1.8 STMはAPS-Cサイズのカメラでも使えますし(APS-Cでは80mm)1万円台で買える最初の単レンズとして人気のレンズです。
標準ズームやWズームと合わせて、是非使われてみればどうでしょうか?使ってみて単レンズの魅力にはまって、メーカーの思う壺にはまりませんように!