この写真講座では、初心者の方にAPS-Cサイズのミラーレスカメラを推薦していますが、しかし最近のフルサイズミラーレスの状況も変化していますので、フルサイズミラーレスカメラのことにも触れてみたいと思います。
フルサイズミラーレスカメラ開発競争
ミラーレスカメラは早くから、ソニーが開発を進めてきたため、フルサイズのミラーレスカメラもソニーの独占状態でした。しかし、ソニーにミラーレスカメラでは、大きく遅れをとっていたニコンとキヤノンが巻き返しを図り、ニコンがZシリーズを発表。Z7とZ6、Z5を販売後、Z7ⅡとZ6Ⅱを早くも投入。キヤノンが新しいEOS Rシステムを発表。ボディ重量485g(キットレンズ重量395g)というコンパクトフルサイズミラーレスEOS RPとEOS Rの後、さらにEOS R5、R6の発売。一気に追いつこうとしています。
これに対し2020年10月、ソニーがボディ重量509gのフルサイズミラーレスを発売し、合わせてキットレンズとして167gの軽量レンズを販売。レンズとの総重量では最軽量となり、フルサイズミラーレスもさらに小型化に進むかもしれません。
コロナウイルスでカメラ業界全体が落ち込む中、カメラメーカー各社のプライドがぶつかり合っているようだ。
イメージサークルの大きさ
上級者のカメラマンの方はフルサイズでなければ許してもらえない。なぜそこまでフルサイズにこだわるのだろうか?それには意味があるのです。皆さんはイメージサークルということばを聞かれたことはあるでしょうか。
イメージサークルとはレンズを通して、入ってきた光が結像する円形の範囲(像)のことです。その円形の結像を四角の受光素子(イメージセンサー)で切り取って、写真に保存しているのがデジタルカメラです。そのイメージサークルの真ん中の部分を切り取ったのがAPS-Cミラーレスカメラで(そのためにレンズの焦点距離の1.5〜1.6倍)、イメージサークルの一杯まで切り取ったのがフルサイズミラーレスです。
APS-Cサイズのミラーレスカメラはイメージサークルの真ん中だけ、小さなイメージサークルで良いので、ボディもレンズも小さく設計でき、安価で作れるのです。しかしフルサイズミラーレスは大きなイメージサークル目一杯に、切り取るため、ボディもレンズも大きくなり、周辺まで解像度を上げるために大きく高価になるのです。
フルサイズのイメージセンサーの面積はAPS-Cのイメージセンサーより、2倍以上大きいので、光を多く取り込むことができ、情報量も多くなり、画質もよくなるのです。
フルサイズがAPS-CSサイズのミラーレスに勝っている点は
- 画質の良さ(大型センサー)
- ボケ具合(綺麗なボケ・同じ焦点距離)
- 夜景撮影でノイズが少ない
- 階調の豊かさ(白や黒、暗部の再現性等)
- 明るいレンズがある(ボケ具合とも関係)
おそらく一度使って、その良さを知ってしまうと抜け出せなくなると思います。昔から写真は道楽と言われてきましたが、フルサイズミラーレスを買ってしまうとレンズも高額で、広角、望遠等、次々と欲しくなってしまうに違いありません。
私は風景写真を撮るカメラマンではなく、プロとして商品写真などのカメラマンとして仕事をしていたのでフルサイズを使ってきましたが、普段はAPS-Cサイズのコンパクトミラーレスを持ち歩いています。いつでもどこでも手持ちで撮れる気軽さが気に入っていて、普段に撮影したものをインスタグラムに投稿しています。
私の持論として初心者の方には、まず写真を撮ることの楽しさを知ってほしいので、APS-Cサイズの小さなミラーレスカメラを、買って毎日撮ってほしいと思っています。APS-Cのミラーレスでも画質は十分ですし、いい写真は撮れます。この写真講座の写真のほとんどはAPS-Cサイズのミラーレスカメラで撮ったものです。
しかしフルサイズミラーレスを否定しているわけではありません。私なりにオススメのフルサイズミラーレスカメラをご紹介します。まずキャノンのEOS-RPです。EOS-RPは2620万画素、重量約485g、価格もレンズ込みで20万円をきり、フルサイズの中ではお手頃です。そしてソニーのコンパクトフルサイズα7CとキャノンのEOS-R6です。EOS R6はキヤノンの本気度が表れた一台です。価格もEOS-RPの倍以上なので、本気で写真を始めようとする方向きです。そして買って後悔しない機種です。
SONY α7C
- FE28-60mmレンズキットとの総重量676g
- カメラ有効画素2420万画素
- AIを活用したリアルタイム瞳AF(人物、動物)
- 拡張最高ISO感度204800
- 693点の像面位相差AF
- 光学式5軸ボディ内手ブレ補正
- 最高10コマ/秒の高速連写
- 4K HDR / S-Log2/3
- 動画時のリアルタイム瞳AFに対応
- 最大実動画撮影時間 約140分
- バイアングル液晶モニター搭載
ソニーが培ってきた最先端技術を、コンパクトなボディに搭載した高性能でコンパクトなフルサイズミラーレスではないでしょうか。
Canon EOS R6
- ボディ重量680g
- 有効画素数2010万画素
- EOS iTR AF X 人物の瞳・顔・頭部、動物の瞳・顔・顔・全身検出
- 常用最高ISO感度102400
- 世界最高8.0段の手ブレ補正効果
- AFエリア最大分割数1053分割
- EOS初、AF低輝度限界EV-6.5
- 電子シャッター使用時最高約20コマ/秒 高速連写
- 3つのシャッター方式 メカシャッター/電子先幕/電子シャッターの3種類
- 4K/60P動画
- シャッター耐久約30万回
- SDカード(UHS-Ⅱ)対応のデュアルスロット
キヤノンのトップカメラメーカーとしての意地を見せた、渾身のミラーレスカメラとなっています。